今年の甲子園出場校も出そろってきた。
毎年、「ひょっとしたら」と期待している我が母校は、今年も早々に敗退。
一度でいいから甲子園出場する母校の姿を見てみたいものだが、夢のまた夢のようである。
可能性があるシナリオとすれば、天才的剛腕投手が入学し、獅子奮迅の働きをして出場、というぐらいしか考えられないが、「栴檀は双葉より芳し」で、そういう選手は中学生の頃から注目され、私立の強豪校に行ってしまう。
また、今年の神奈川県代表の東海大相模は、140キロ以上で投げる投手が4人もおり、決勝戦では今大会初先発の控え投手が20奪三振で快勝したが、このぐらいの質量を確保しないと、一人の大エースだけでは勝ち進めなくなった。
最近テレビで甲子園大会もあまりみなくなったが、それでも春夏ともにたまの土日に見ることもある。
昨年印象に残ったのは、春と夏に活躍した愛媛の済美高・安楽投手である。
二年生ながら体は大きいし、球も早いし、これはすごい投手になるな、と思った。
そして、アメリカのメディアから「投げさせ過ぎ」が指摘され、かなり話題にもなった。
日経新聞記事損傷結局、肘を故障してしまい調子が上がらず、今年は予選敗退してしまった。
長い目で見れば、今年は甲子園に出て来なくて正解だったかもしれない。
結局また、連投、連投となってしまう。
ヤンキースに行った田中も素晴らしい活躍をしたと思った途端、故障してしまった。
原因が色々言われているが、「投げ過ぎ」という点は一致している。
メッツの松坂も復帰したと思った矢先、またも故障である。
メッツの投手コーチは、「言ってくれれば」という談話を出していたが、松坂ほどの実績のある投手でも日本人の性格として言えなかったものと思える。
ヤフーニュース参照これが高校生なら、もっと言出だせるわけがない。
以前から高校野球に投手の「投球数制限」や、「タイブレーク制」の導入等の話が出てはいるものの、この話が一向に進む様子がない。
高校野球関係者は、相変わらず昭和の根性野球に取りつかれているのだろうか。
試合に勝つということは、当の高校生にとってのメリットだけではない。
監督個人の評判、私学なら知名度向上による学校経営、OB・OG達の自尊心、町おこしに繋げようとする地元商店街の思惑、こんなものまでまとわりついてしまう。
いい投手がいれば、誰だって連投させたくもなるし、延長戦になっても投げ続けさせたくなる。
「フォアザチーム」を叩き込まれて、また、ただでさえ活躍したい高校生は、肩がおかしい、とは言い出しにくい。
だからこそ最初からルール化すべきと思う。
日本は貿易赤字国に転落してしまった。
あれほどの黒字国であったのに。
例えはよくないが、プロ野球の世界では、外人選手の輸入額と日本人選手の輸出額を比較すれば、圧倒的な赤字であろう。
才能のある選手を使い捨てにしてはならない。
ただ日本の高校野球も少しずつ変わりつつあるのかもしれない。
ウォールストリートジャーナルにこんな記事を見つけた。
WSJ記事記事は少々長い。かいつまんで紹介すれば、
・奈良県大和広陵高校の立田投手は少年野球時代に2つのチームを全国優勝に導いた、日本のみならずメジャーリグも注目の投手である。
・彼の父もプロを目指していたが、練習中の故障により断念せざるをえなかった。そこで父は、過度の投球や自分の肩に不安を感じた場合、投げないように指導した。
・複数の私立高校から奨学金のオファーがあったが断り、無名の公立校に進学した。強豪校の指導者たちは、立田投手の肩を犠牲にしてでも、勝利を最優先させるのではと恐れたからだ。
・チームへの献身、指導者への服従、長時間の投げ込みを尊ぶ日本の高校野球の伝統の下では、エースピッチャーが自分の意思で肩を温存し、与えられた登板機会で投げることを拒むというのは、かなり大胆な反抗であるが、彼は納得をしてこれを行っている。
・ただ、日本のプロ野球のスカウトは、立田投手のやる気を疑問視しており、「夏の大会で投げるかどうか次第」とみている。
こんな内容である。
奈良県大会の状況を調べてみたら、シード校であった大和広陵高校は、強豪智弁学園に準決勝で負けてしまった。
奈良県代表は、その智弁学園である。
さて、ドラフト会議で彼は指名されるのか気になる。
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