12日の成人の日のことである。
わが娘も成人の日に出かけたのだが、私は家に籠っていた。
朝、便意を催してトイレに入って力んだところ、脱肛してしまった。(と思った。)
時々トイレットペーパーに血が滲むこともあったし、ウォシュレットで洗うと特定の場所がピリピリとすることもあったので、以前から痔の自覚はあった。
そしてこの痔の話は、どういう訳か皆好きなようで、私も若い頃からさんざん諸先輩に聞かされてきたので、脱肛の対処法に関する知識もあった。
それは、風呂に入り指で少しずつ入れていく、というものである。
さっそくそのようにしてみた。
大半は入ったような気がしたが一部どうしても入らなかった。
数時間後また同じようにしたが、だめだった。
どうにも気持ちが悪いので医者に行こうと思ったが、この日は祝日。
翌日はどうしても仕事を休めない事情もあり、翌々日の14日の水曜日にこの手の病気では高名な横浜・戸部にある病院に行った。
この病院の話は、数多くの人から聞いたものである。
私と一緒に就職した同期の友人は、就職後半年の22~23歳の若さで入院した。
彼は「どうしたものか」とさんざん悩みぬいた後、ようやく出かけて行った。
この病院に行くと「直ぐに切られる」というのも評判であった。
ある人はこのようなことを言っていた。
「診察後、医者が『今日は時間がありますか』というので、『はい』と言うと『じゃあ直してあげるから手術しましょう』というんだよ。
そして直ぐ手術。
その麻酔の注射が痛いのなんの。思わず『ギャー』と悲鳴を挙げてしまった。」
覚悟を決めて戸部にあるその病院へ行った。
医者は「あれ」とか「うーん」とか言ってこちらを不安にさせる。
そして何かの器具を肛門内にねじ込む。
かなりの衝撃。
その後「中は何ともないです。無理やり中に入れようとしたでしょう。外側が腫れているだけで中から出てきたものではないので、入るわけないですよ。無理に入れようとすればするほど増々腫れますよ。外痔です。」」と言う診断であった。
「二週間分の薬を出しておきますので、二週間後また来てください。それから念のため血液検査をして行ってください。」
大したことがなくてホッとしたが、血液検査の必要性はよくわからない。
おまけに大量の薬。
一番上の薬は、一日三回。
二場目の薬は、毎朝。
そして、三番目の薬は、毎夜。
薬の上に薬を塗るのか、という状態。

当初は真面目に薬を塗っていたためパンツが薬で汚れるので、妻から生理用品を貸してもらった。
まだ腫れてはいるが、それも昨日から止めてしまった。
もともと腫れていた部分が気持ち悪いというだけで痛みは全くなかった。
これまで私に数々の人達が痔の体験を話してくれたが、結局、私も同じようにこのことを職場で話題にした。
何というかとても不思議な病気である。